人として大切なこととは?

子、孫、そして次の世代に伝えておきたい忘れてはいけない記録

第1話 虫の知らせ


そもそもの事の発端は、恐ろしくもコロナから始まった。

 

2022年2月8日(火)

半年ほどずっと実家に行っていなかった私が、何故かふと実家に行こう!と思い立ったその日だった。

 

実家に行くと部屋が暗かった。

奥の座敷に母が一人で寝ていた。

 

「あれ?晩ご飯は?用意してないんだ。お父さんどこ?」

 

晩ご飯も食べずに暗い部屋で母は一人寝ていた。

 

「寒い~。寒い~。調子悪いの。寝かせて。お願い~。」

 

としか言わない。

実際にブルブルと震えていて、熱があるようだった。

質問の答えは、意味不明で要領を得ないままだった。

 

私の下に2人いるうちの双子の末っ子、妹の名奈に携帯で電話してみた。

 

「お姉ちゃん!そうやねん。実はお父さんが・・・。朝からおかしかってん!廊下がおしっこで水浸しで!立てなくて、どうしたらいいかわからなくなって。」

 

「・・・(嗚咽状態)お姉ちゃん!助けて。。。お父さんコロナで入院した。」

 

かなり動揺し、ギャーギャーと泣きじゃくり、話が聞けない状態である。嗚咽で言葉がはっきりせず、様子が全く聞き取れずわからないが、コロナで入院だけ聞こえた。

 

「名奈ちゃん、ちょっと落ち着いて!お父さんがどうしたの?今、どういう状況?」

 

「早奈がお父さんとお母さんを連れてお医者さんに行って、お父さんがコロナ。」

 

「わかった。」

 

よく聞いて話をまとめると、朝、早奈が実家に行くと母が父をほったままお座敷の布団で寝込んでいた。

母は震えていて、足がガクガクして立てない、おしっこを漏らしているが立てない状態。

父はトイレに行こうとして間に合わなかったのか、おもらししたが足が悪く廊下に座り込んだまま立ち上がれないのに、母は足の悪い父をほったらかしたままだった。

しかも、両親とも熱があり、早奈が昼間両親を車でお医者さんにつれて行ったらしい。

早奈は双子の妹の名奈に連絡したらしい。

 

「えっ・・・コロナ?」

 

85歳で高齢、高血圧、不整脈、心臓も肺もよい状態ではない父がコロナにかかったのなら大変な事態だ。

 

名奈に落ち着くように言ったものの私も不安がよぎった。

 

芸能人の志村けんさんや著名人も持病のリスクなどの影響で、本当に信じられないほどバタバタとコロナで亡くなっている。

コロナの恐怖におびえるしかなかった。

しかも、病床がかなり逼迫しているため入院先がないような時期だった。

 

虫の知らせはこのことだったのか。

 

早奈からの連絡で、父はそのまま町医者から市民病院に即転送され、父はコロナで入院となったらしい。

 

その時私は、このコロナがきっかけでその後、自分が今まで生きてきた中で、計り知れないほどの末恐ろしいことが自分の身に起こるとは思いもしていなかった。

 

 

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