人として大切なこととは?

子、孫、そして次の世代に伝えておきたい忘れてはいけない記録

第86話 突然の襲撃

2,600万事件以来、弟は決して1人で実家に帰って来なくなった。

弟は、必ず実家に来るときは早奈軍団(早奈と旦那さん)、名奈軍団(名奈と旦那さん)を誘って連れてくる。

そしてたいていが土曜日の夕方に連絡もせずに突然やってくる。

名奈と早奈に実家に来る時は必ず先に連絡を下さいと何度か手紙を書いて頼んでも、突然やってきた。

恐らく、私が居るときに来るのは想定内で、名奈と早奈の嫌がらせの1つだったのだと思う。

わざと宴会アピールしたいため来る事を教えないんだと感じた。

「今夜は兄が帰りますので一旦帰って下さい。」

と、実家に電話するなり、事前にメモを置くなり、一言伝えてくれるだけで良かったのだから。

 

いつも、土曜日のデイケアが終わり、両親と夕食を食べる直前のベストタイミングで突然乗り込んで来る。

最初、野球帽をかぶった弟がビールやお酒両手に入ってくる。

次にゾロゾロと名奈、旦那陣が実家に入ってくる。

早奈は、たいがい一番後ろから人の影に隠れて、ニヤニヤしながら入ってくる。

その日、たまたま孫の1人を連れてきていた。

「一緒に行きいたい!」と言ったので娘に許可をもらい、私も孫ちゃんと両親と一緒に食べるのを楽しみにしていた。

だが、実家に幼い子どもを連れてきたのは大失敗だった。

弟の顔が見えたので、咄嗟に恐くなって孫に椅子の下に隠れるように言った。

 

孫のいる場所から少し離れてしまったスキだった。

しまった!

名奈が、

「椅子の下に誰か隠れてるで!」

と、椅子を蹴り飛ばして、

「おらっ!隠れるな!出てこいっ!」

と目を吊り上げて怒鳴った。

孫は恐ろしさにガクガク震えていた。

弟が、

「他にも隠れてるぞ!早く探せ!」

と言った。

私は、

「この子しか連れてきてないよ。すぐ帰りますから。」

と答えた。

食卓の向こう側にあるリビングのテーブルに食材を置いて、名奈が口を開いた。

「あぁ?食事するならそっちで食べていいわよぉ。私達はこっちで宴会するから、気にしないで。」

早奈は人影に隠れて、ゾッとするほどさらにニヤニヤと笑っていた。

 

私は、名奈が椅子を蹴り飛ばしたので、孫の身の危険を感じた。

恐くなって母に帰ると伝えた。

母は、

「あら、悪いわね、帰ってくれる?」

と答えた。

父は状況がわからず目をシロクロさせて何も言わなかった。

この時期(2022年後半くらい)から、母はじわじわと名奈がかってきていた。

さらに謎の発言、行動が多くなってきた。

私はふと、これは妹たちの「洗脳」じゃないのかな?と感じた。

 

 

名奈や早奈と同じ様な行動、同じ様な発言が多くなってきたからだった。

必ず毎週土日は帰って来ない息子の靴を玄関に置く。

息子の部屋の雨戸を閉め、布団を敷き、部屋にエアコンをかけ暖め、部屋の電気を付けていた。

息子の事をしきりに心配し週末帰って来ない事を気に病んでいた。

そして、何度も私に語ってきた。

父が、

「息子、息子と同じ事を何度も言うな!うるさい!」

と怒ったほどだ。

「この家は息子に渡すものだから、あなたはこの家要らないよね。」

「息子のことは名奈に面倒見てもらうことに決めたわ。ほら、息子と名奈の旦那さんは仲がいいから」

と私に言った。

あんなに名奈の旦那さんを計算高いと言って毛嫌いしていたのに。

私のいる前で、

「お父さん、この家の財産は息子のものだから、早めに家の権利を息子に譲る手続きを急がないと。」

と父に言ったり、

「あなたは、この家を放棄してくれるわね。」

など思い出す度に念を押すように言ってきた。

私は言われる度に、

「お母さん、私は自分の家を持っているから、2つも必要ないやろ?

『座って半畳寝て一畳』って言葉があるやん、この言葉が私のモットーやから。

欲はないよ。お金も家もこの家にある皿一枚すら要らない。

お父さん、お母さんが元気でいてくれるだけでいいよ。」

と答えた。

母はどこから出してくるのか不明だが、奥の部屋で母が大事な宝石箱を開けたり閉めたりしていた。

奥の部屋でカバンを開けたり閉めたりも何度もしていた。

明らかに私を変に疑ったりするような発言や、物がなくなったのはあなたじゃないのか発言、物を誰かに盗られた発言もしだした。

「あなた、私の宝石場所の隠してある場所知ってるの?」

とよく目を見て言われた。

母は自分が集めた宝石を大事にしているようだったが、知らないだけじゃなくて、もしもあげると言われても要らないと答えるほど全く興味がなかった。

 

一緒にお出かけする前に、ティッシュをちぎってたくさん玄関に蒔いたりしていた。

「何してるの?」

と聞くと、

「誰かが家に入ってくるからわかるように。」

と言っていた。

母にはテッシュは風で飛んでいくからと伝えて拾った。

だいたい、ティッシュを蒔いた事は出かけたらすぐ忘れるのに・・・。

玄関に石を何個もまいている時もあった。

玄関のマットを後ろにずらしたりしてることもあった。

弟の部屋の入り口を数センチ開けておいたり、

弟の部屋の前にわざわざスリッパを置いたり、

母は早奈や名奈と同じような変な細工をするようになっていた。

そのうち母は、一緒に出かけようと誘うと頑固として、

「私は絶対に行きません!」

と家から一歩も外に出なくなった。

外出を断るようになった。

車に乗り行きかけてから、急に、

「やっぱり行かないから車を戻してくれ!」

と言い、だいぶ行ったのに戻った時もあった。

時折り見せる母の行動や名奈がかった姿は私を不安にさせた。

 

話しがかなりそれてしまった。

この突然の弟+妹夫婦軍団の襲来は何度かあった。

 

その度に、両親のために作っていた料理を冷蔵庫にしまい、沢山の生活用品をかかえて逃げるように、自分の家に帰った。

 

この日も、孫ちゃんと沢山の荷物を持って2人で、

「恐かったね。」

と2人で泣きじゃくりながら自宅に帰った。

孫ちゃんは恐怖でしばらくガクガクと震えていた。

今でもトラウマになったのか、その時恐かった話しを私によくする。

そして最後に

「なんで名奈ちゃんいつも優しくしてくれてたのに、あんなに怖くなったの?」

と不思議そうに言う。

それ以降は絶対に孫は連れて行かないことにした。

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