ある日、見つけた隠された物があった。
倉庫の一番左上にあるケーキ用の銀色のかなり大きなボウルに新聞紙の塊がってたくさん積んであった。
おそらくお茶碗だった。
実家にはそれこそ誰がこんなに沢山使うの?と言うくらいの数あった。
親戚全員18人分を超えた数が隠してあった。
両親の分を残し、それ以外のお茶碗をあちこちから全部を集めて隠していた。
しかも、母は高価な食器を買い集める趣味があったので、中には一つ五千円ほどする高価な物もあった。
お茶碗の隠し場所は見つけたが絶対に触らなかった。
手前の赤い天ぷら用の鍋の中にも新聞紙に包んだお茶碗が入っていた。
そもそもお茶碗を、集めて新聞紙に無造作に包んで隠して、暇人かっ!とツッコミを入れたくなった。(ツッコミは入れていない)
ただ、高価なお茶碗を倉庫のてっぺんに置いたら絶対に落ちるリスクがあるのにと思った。
嫌な予感がしたのでとりあえず写真を撮った。
やはり、嫌な予感は当たった。
ある日、倉庫を開けるとバリバリに割れたお茶碗がそのまま透明ビニール袋に入れて放置してあった。
見える場所だったので、割って片付ける間もなく急いでたのかもしれない。
割れてないお茶碗は下に下ろしてあった。
母はそもそも倉庫に用はないし、背が絶対に届かない。168㎝の私でも背伸びしてやっと届くかどうかの位置だった。
そもそも、発見した私がビックリしたくらいなので私ではない。
となると、早奈か名奈しかいない。
お茶碗を隠した人物とお茶碗を割った人物が果たして同じなのかも、違うのかも不明だが、間違いなくどちらかが割って黙っているのだと思う。
嫌がらせした茶碗に名前が書いてある訳がないので、早奈がやったのか名奈がやったのか筆跡のあるものでなければ、判断つかなかった。
私の推測では、包んで隠したのが名奈で、割ってから割れたまま元に戻したのが早奈ではないか?と思う。
割れたら持ち帰って処分するか、駐車場の割れ物の所に入れて処分するかすればいいのに、何故か割れたカケラを全部拾いビニールに入れ、ボウルに入れて元に戻していた。
急いでいたのかは不明だがこの浅はかな考えと行動が早奈っぼい。
木曜日、金曜日が早奈の担当日。土曜日に私が発見したという意味でも早奈っぽい。
しかもその後もその事を何度も「姉がお茶碗を割った!割った!」と名奈に責められた。
しまいに
「割れたお茶碗の中に達磨のお茶碗があった。達磨のお茶碗を割る意味がわかりますか!!割った人は、地獄に落ちる。」と名奈の字で書かれていた。
責めたのは名奈だけだったから、恐らく割ったのは早奈だろう。
素直に名乗り出て謝るなんてことは、口が裂けてもないだろう。
いや、限りなく黒に近いグレーだとしても、早奈は死んでも自分がやったとは言わないだろうし、お母さんの大事なお茶碗を割っても謝罪することもなく、黙って私のせいにして平然と暮らしている。
一体、早奈の口から常に発する言葉の「真実」とは何なんだろう?
その言葉に、果たして真実はあるのだろうか?
お箸も隠している場所が見つかった。
母が私たち家族のために、百貨店に行くたびに名前入りの高価なお箸を作ってくれていた。
自宅にも名前入りのお箸は同じ物がある。
実家のお隣に住んでいる同級生の女の子が、偶然、孫の長男とお誕生日が全く同じなので、お誕生日プレゼントは一緒に名前入りのお箸をプレゼントしてもらった物もある。
成長に合わせて、長さの違う3セット入った名前入りのお箸だ。
娘と息子の名前入りのお箸は、先が折れたりしてるので、何種類かあり何代目かだと思う。
隠してあったお箸の中から、自分達の名前入りの物だけはもらった。
誰も人の名前が刻印されたお箸は使わないだろうと言う事で、母に許可をもらって持って帰った。
ちゃんと
「個人の名前入りのお箸はお母さんに許可をもらったので、もらいました。」
と手紙で伝えた。
ちなみに、お父さんの名前入りの箸もあった。
私の夫のお箸、娘、息子、の名前入りは数種類あったのに、名奈家族、早奈家族のお箸はたった一本さえ見つからなかった。
それだけ、私の家族が両親に寄り添い食卓を囲むことが多かったのか、歴史をお箸が語ってくれたのだった。
母はわざと私の家族だけ用意したわけじゃないと思う。
それだけ、妹家族が実家に来てない、一緒にご飯を食べてないからお箸を買い揃える必要もなく、百貨店に行った時にお箸に名前を入れる事を思いつかなかったんだと思う。
スプーン、フォーク、ナイフ、などのカラトリー関係も見つけた。
お店が出来るくらい結構な数あった。
缶のフタを開けると早奈の字で何やら書いたメモが入っていた。
その頃から、
「お父さんに〇〇してもらっています」
といいメモや、直接父に内容を書かせている事が多くなる。
カレーライスなどを作るとスプーンがないのでいつも困っていたが、見つけてからは、そこから出して、使ったらわからないようにまた元の缶の中に戻しておいた。