人として大切なこととは?

子、孫、そして次の世代に伝えておきたい忘れてはいけない記録

第17話 父の退院珍道中

家族の意向としてドクターKに伝えた。

その時のグループLINEに送った文章をコピペしてみた(下記)

私からみんなへ送ったもの。

 

(名前等は、伏せるために変えています。)

 

「ドクターKへ電話しました。

こちらの意向を理解してもらえました。

お父さんは、家に帰りたい、帰りたいと連呼しているようなので、何なら退院するなら今日でもいいですよ。
と言われました。

明日の10時退院
お母さんの時と同じ段取り
次の病院に行くかどうかは別として、紹介状は作る準備を始めます。

土曜日、日曜日とお父さんの様子を見て、月曜日に必ずドクターKにお父さんの様子を連絡下さい。

血圧、糖尿、血栓の薬を明日渡します。

水頭症の症状については、臨機応変に対応しましょう。

お母さんの検査が終わってからでもいいと言うことかな?と私は受け取りました。

大まかに言うとそんな感じです。」

 

一般の病床ももちろん逼迫している。

父が転院するのなら、転院先が決まるまでそのままリハビリしながら今の病院で待機してもいいが、退院希望なのなら、病院側も早急に退院オッケーと言うことだ。

後は在宅介護で何とか回復するように頑張るしかない。

ただ、母がそうだったように、父も自分の家に帰れば、回復が早いのは確実だと思った。

退院は母の退院の日から4日後だった。

 

退院当日は、私と名奈が行くことにした。

ド素人なので、介護タクシーという選択肢も知らず、のこのこと自家用車で迎えに行った。

土曜日なので、後の人員は自宅待機。

退院調整看護師、地域包括支援センター、ケアマネジャー、と私は初めて聞く単語がたくさん出てきた。

ケアマネジャーと地域包括支援の役割や棲み分けさえ知らなかった。

その上、これからの課題は山積みだった。

とりあえずは、ダスキンレンタルで上半身が自動で動いて起き上がりを補助するベッド、家の中用の車椅子、外用の車椅子を借りた。

この時母が、車椅子を家に入れたら汚れる、ベッドなんか要らないなど意見を言っていたが、さすがにこの意見は父の状態からして、無茶苦茶だと思ったので、母には買わないレンタルだという事、気に入らなかったらすぐ返却出来る事、お父さんの状態で考えてみるから、とりあえず借りようと説得した。

 

着替え、靴、上着を持って病室に行くと、父に会えた。

ガリガリに痩せていた。

片言しか話せなかった。

かなり、弱っていた。

立てない、

歩けない、

しかも、

車椅子に、

座っていられない。

父の変わり果てた姿に、

かなりショックを受けた。

退院時のドクターKからの説明、

脳の画像、

身体の数値検査結果、

紹介状などを預かった。

ドクターKには、手紙と早苗が用意してくれたお菓子を渡した。

いよいよ、自宅へ

そこで、難問が出てきた。

実家は、ドアに行くまでにわりと急な15段ほどのU字に曲がる階段がある。

父はまず頑固として、

車から降りなかった。

何度も介助するから降りるよう促すと怒った。

「ここでいい!」

「降りない!」

「イヤや!」

と大きな声を出したので、ご近所さんの手前ヒヤヒヤした。

結局はお向かいさんとかが何だろうと出てきていた。

私、名奈、早奈では完璧に無理だと悟った。

外は寒いし、父は頑固として車から降りない。

とりあえず助っ人として、名奈と早奈の旦那さんを呼ぶとすぐに来てくれた。

あーだの、こうだの、みんなで口論したが一向に父は車から外に出ようとしない。

「ここにいる!」

の一点張り。

病院の車椅子から車へ乗る時は、難なく乗れたのに。

 

何も出来ずに時間だけが過ぎた。

 

とりあえず、色々な言葉かけをして父はやっと車椅子に乗り、4人の支えで階段下まで来れた。

素人の力では、車椅子での階段登り降りは、危険でしかない。

重たい、車輪がある、何人で待とうと落ちる。

完全に無理!

 

そこからまた、どうするかの口論になり、

「おぶって上がる?」

これも、私はかなり自信があったが、無理だろうと却下された。

「食卓の椅子持ってきて、そこに座って椅子を持ち上げるなら出来るかも」

という案を出してみた。

早速、食卓の椅子を持ってきて、父を座らせて総勢5人で椅子を持ち上げ、そのうち1人が落ちないように支えながら玄関まで行けた。

そこから真っ直ぐ椅子に座らせたままベッドまで辿り着けた。

何時間もかかる作業だった。

無事、ベッドに寝られた父は本当に嬉しそうだった。

 

↓グループLINEに私が送った文章の一部

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