人として大切なこととは?

子、孫、そして次の世代に伝えておきたい忘れてはいけない記録

第18話 人の痛みがわかる人間とは

コロナ入院から無事退院出来た父。

 

足も手もほおも痩せこけ、

体力は落ち、

起き上がれないだけでなく、

寝返りも打てない、

スプーンさえ持てない、

話せない、

まさに寝たきり状態だった。

まずは、

①ケアマネジャーとの契約

②ヘルパーさんの契約

 (利用したのは、最初だけだった。)

③病院に行く時は介護タクシー(車椅子で階段乗り降り可能な方)を探す。

④リハビリ訪問看護との契約。

⑤レンタル会社(ダスキン)との正式な契約

⑥リハビリのための訪問看護では、

理学療法士

PT  はPhysical Therapist

 ケガや病気などで身体に障害のある人に対し、

基本動作能力の回復や維持、

運動療法や物理療法などを用いて、

障害の悪化の予防を目的に、

自立した日常生活が送れるよう支援する。

 

作業療法士

OT  occupational therapist

日常で必要な「食事」「洗顔」「料理」「字を書く」などの応用的動作能力の回復、

「その人らしい」生活の獲得を目的に、

リハビリテーションを行う。

 

に、週に3回来てもらう契約をした。

 

その後介護認定を受けることになるが、父は予想通り要介護5、母は要支援2となる。

 

私の両親ともに血液はO型である。

必然的にその子どもは全員O型。

血液型が性格に反映するのか不明だが、O型あるあるの特にマイナス性格は、

 

感情がストレート

声が大きい

せっかち

どちらかと言えば厚かまし

先頭に立たないと気が済まない

上から目線

人を馬鹿にしたような言い方をする

謙虚なのは最初だけ

知ったかぶりをする

身の程しらず

根拠もないのに やけに自信過剰

上には上がいるということを分かっていない

物事を冷静に考えない

勘違いが多く、勘違いのまま突っ走る

間違えていても素直に謝らない

常に自分が正しいと思っている

意見が食い違うと自分の意見を通そうとする

大げさ、話を盛って大きくする

相手によって露骨に態度を変える

相手に闘争心を抱く

自分よりチヤホヤされる人間がいると 嫉妬心の塊になり 発狂する

 

このマイナスの性格は、生まれ育った環境にも強く起因するが、理性があれば抑えられると私は考える。

私も当然O型。

本来これらの性格を持ち合わせていると自覚している。

自覚している分、常にそれを抑えようと自問自答して事を進めている。

 

だが、妹たちは気づいていない。

特にこのマイナス性格がモロに現れている。

 

私が妹たちとかかわった時間は、実はかなり少ない。

妹と5歳も離れているので、自分の目線は常に自分にあり、その毎日で精一杯だった。

家の中では荒れていたが、全く妹の事を思いやる余裕はなかった。

高校は、家を出されおばあちゃんちから通った。

大学時代から家出した。

なので単純に計算して、

58−15=43年間

妹たちと一緒の時を過ごしていない。

 

結婚したら相手や子どもが増える。

同じように育った環境でも、やがて違う考えを持ち、違う性格とかかわる。

 

ところが、介護を通して同じ実家という場所で、大人になってから同じ時間を過ごし、兄弟とかかわる事が多くなった。

 

父の介護を始めてから、開いた口がふさがらない、何度も目が飛び出るような状況を目撃をすることになる。

 

名奈が父の身体を拭くために、洗面器に熱湯をくんできて絞ると、そのアツアツの濡れたタオルを父の顔全体にべちょっと置く。

当然、熱くてやけどしそうな濡れタオル。

しかもずぶ濡れなので息が出来ない。

「熱いっ!」

ビックリして、一緒にいた娘がタオルを外した。

私も耐えかねて、

(お父さんを殺す気か?!)

と心の中で思った。

「無茶苦茶するわ!」

と妹に怒った。

照れ隠しなのか何なのか知らないが、

「そんなに熱くないよ」

と薄笑いを浮かべていた。

 

その名奈の口癖は、

父を目の前にして、

「うるさい!」

「声が大きい!」

「汚い、汚い!」

「お父さん、病気じゃないねんで!」

 

早奈は、私たちの見ている前で、

「お父さん、どこも悪いところないねんで、いつまでも寝てたらあかん!しっかり足動かさな!」

と、カチカチに固くなった寝たきりの父の両足を持ち、

いちに!いちに!

と無理矢理交互に動かす。

父は痛みに耐えかねて、

「痛い!」

と怒鳴る。

「無茶苦茶したらあかん!」

「OTさんでもしない事を素人が無理矢理したら、身体が壊れてしまう!」

と思わず早奈に叱った。

 

早奈も名奈も食事は、自宅で作ってきた物をタッパーに入れて持ってくる。

両親とは絶対に一緒に食べない。

夕食時の交代の時間で早奈と時間がかぶる事が多かった。

母が1人で食べたていた。

タッパーから出して皿に盛りチン!して出す、食べてるしりから、皿を片付けていく。

自分が早く帰りたいからだ。

(母もゆっくり食べられないなぁ。)

(すごいことやってるんだなぁ)

と横目で黙って見ていた。

やっと食べ終わり、母がおかずを残した。

「ご馳走様。もう食べられないわ。」

と言うとすかさず、

父が残したおかずと一緒にまとめ、大きなスプーンを持ってきて、私の見ている目の前で、

「あかん!残るから食べといて!」

と、嫌がる母を無視して、無理矢理口の中に押し込んで食べさせた!

さすがに、それを見て目が飛び出るかと思った。

よく、弱ってる親にそんな事できるなと思った。

呆れて言葉が一言も、出なかった。

「無茶苦茶するなぁ。」

と言うと、

「私とお母さんの仲やからいいねん!」

と開き直って薄笑いを浮かべていた。

 

父への食べさせる時も、

自分が早く帰りたいからなのか、

「交代するよ」

と言っても無視。

無理矢理口の中にお粥を突っ込む。

挙句、残っていても

「ご馳走様ね。」

と切り上げてしまう。

 

人の痛みは、その本人でないとわからない。

 

私の家族は、夫も子どもも孫も私以外全員がA型。

血液型に関係するのかはわからないが、みんな人の痛みに関しては、優しく寄り添える人であり、特に弱っている時に、かけてくれる夫の言葉は常に優しい。

 

片言でしか話せない父が、

早奈が来ると

「悪魔!帰れ!」

と怒鳴るようになった。

名奈が来ると、

「おばけ!悪魔!」

「帰れ!来るな!」

と何度も怒鳴るようになった。

私や娘がいる前で、

必死で父が怒鳴っていた。

私も娘も介護に携わったが、

一度もそんな言葉を投げかけられた事はない。

父にとってはひ孫ちゃんたちもよく実家に来ていた。

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