人として大切なこととは?

子、孫、そして次の世代に伝えておきたい忘れてはいけない記録

第13話 ドクターK

長いようで短い人生の中で、偶然と偶然の組み合わせでどんな人に出会い、どんな人に係わるのかは、実はその人の生き方を変えるほど重要な鍵となる。

 

両親のコロナ入院で一番幸いだったことは、

両親とも同じ市立病院に入院できたことと、

ドクターKとの出会いだった。

コロナ担当のドクターKは、息子が高校生の頃3年間カヌーをしていた時の顧問の先生にとてもよく似た、笑顔が素敵な、優しくてとても気さくな先生だった。

内科(救急部門)専門医で、市立病院38年勤務の市立病院理事兼部長という偉い方で、コロナ禍という緊急性を要して、臨時でコロナ病棟を担当してくれていた。

本来両親はコロナで入院したわけだ。
じゃあ、医者としてはコロナだけを直せば、はい!サヨナラそれで充分だろう。

だが、ドクターKはコロナだけでなく、高齢の両親のこれからの生活や健康面を考慮して下さっていた。

身体全体の疾患がないかどうかをくまなく検査し今後の健康指針として報告して下さり、「紹介状」と「予約」今後の主治医への連携となる「主治医意見書」も詳しく書いてくれた。

父の血圧が高く、糖尿病の疑いがあり数値が高いこと、血栓があることなど。

母は、足の裏に血栓があり要注意、他に疾患はありません。

その上、恐らく父も母も患者さんとして接していて、ほんの短い間に会話がかみ合っていない点に即気づいたのだと思う。

認知症を発症しているのでは?ということで脳のMRIまでとってくれていた。

「脳の画像を見ると、ご両親揃って同じ様に、ポカンと浮かんだ脳の画像周りに大きな空洞があり、池のような空洞が大きく脳の周りを囲んでいて、明らかに素人目にも見て、脳が萎縮してきているのがわかります。

旦那さんか奥さんどちらか一方がってことはよくありますが、ご両親のどちらも同じ様な画像というのは、本当に珍しいですね。」

「所見ですが、脳の萎縮状態、お父様の症状から見ると(失禁、失語など)「正常圧水頭症」の可能性があります。
もしもそうなら、今の医療の力で治療やシャント手術等をすれば回復が見込める可能性があります。脳の専門である医師にもう一度診てもらうとわかるので、紹介状を書きます。」
と言われた。

Kドクターとの詳しい話し合いにより、母の退院日は決まった。

 

今回の病院でも、キーパーソンは何故か2人存在した。

常に積極的に、言い方は悪いが、キーパーソンを乗り超えて首を突っ込んできたのは、名奈だった。

逆に早奈は、そういった

交渉事、

自分の話したいことを的確に相手に伝えること、

相手がが伝えたい言葉の内容を充分に即、頭の中で理解し、

メモをとり、箇条書きに文章にまとめ、

それをフィードバックして他の人に伝えること、

が極端に苦手だった。

単純な用件であっても、

そういった作業を早奈に任せると、

伝言ゲームの途中で勝手な理解、誤解が生じ、

自分の思いが加わって、妄想がさらに加わり、

小さな話が大げさな話に変わってしまう。

やがてそれが事件になるほどだった。

 

幸いなことに、今回の入院に関しては早奈が間に入ってこなかったこと、

姉の私がキーパソンだが、何故か名奈という家族側から何度もひつこく電話してしまっていたことに関しては家族関係を充分承知の上で、

逆にドクターKは、

「妹さんがこう言われていますが、聞かれていますか?」

「妹さんが言われていた方向で退院を進んでいきましょうか?」

「この件に関しては、お姉さんからご家族さんに伝えてもらえればいいすね。」

など、コロナ禍で大変な状況なのに、規律は規律としてふまえた上で、決してそれに対して指摘したり怒ることなく、

逆に気を遣って、私に水面下で優しく伝えて下さるような紳士的かつ臨機応変な対応をとって下さった。

(逆に、今後この「キーパーソン問題」は、どんどん火が付きおかしな方向に行くことになる)

 

そういえば、息子のカヌーの顧問の先生との出会いも、本当に奇跡のような出会いだった。

顧問の先生は、息子の高校3年間を顧問として、カヌーを通して、勉強、倶楽部、生活面だけでなく、クラブを3年間辞めずに続けること、精神面、鍛錬、などいろいろな大切さを教えて下さった。

おかげで、地域大会や地区予選、インターハイも3年間出場の経験ができた。

反抗期でどうしようもなく、生活態度もむちゃくちゃで、時々どうしようもなく暴れていた息子は、ちゃんと私との約束通り、3年間サボることなくカヌーを続け、高校を卒業し大学に進学した。

息子が卒業したその翌年に定年で学校を辞められた。

 

その顧問の先生と気持ちと状況がすごく重なり不思議なのだが、ドクターKも、父と母のコロナ入院から退院するまでを手厚くしっかりと見守って下さり、それを最後に市立病院を退職された。

「実は今月末で市立病院を定年で退職しますが、ご両親のことは責任を持って退院するまで診ますね。」

と約束して下さり、約束通り、父も退院の方向へ向かった。

 

↓ ドクターKへの感謝の気持ちを書いて渡した手紙の下書き原稿

 

 

 

↓ 母退院当日の様子を私がグループLINEに投稿した様子

 

このLINEの内容からもわかるように、全ての決裁権が

「名奈」にあり、場合によっては早奈にあることがわかる。

実家に来た手紙を見る人が誰なのか、

(実家に来た封書は私は勝手に開けない)

母の夜中おしっこのため起こすのが2時間ごとなど。

(早奈が、2時間ごとに母をトイレに促すように強制)

お漏らしでの布団の汚れ、洗濯の面から、夜中2時間、

ごとにぐっすり寝ている母を起こすのは・・・。

 

どうなんだろう?

 

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