人として大切なこととは?

子、孫、そして次の世代に伝えておきたい忘れてはいけない記録

第32話 早奈について

ボディソープ事件の全貌

ボディソープの水増しもさることながら、私には他にも早奈にはいろいろな不満があった。

 

早奈は常に金曜日は介護の担当日だった。

土曜日、日曜日は必ず私が担当だった。

土曜日に行くと洗面所、お風呂がいつも汚れていた。

私も人の事は言えた柄じゃないが早奈ほどじゃない。

洗面所は歯磨き後の汚れ、しかも、髪の毛がたくさん落ちていた。

入れ歯はコップにただつけただけ。

確かに私も最初は触るのが気持ち悪かったが。

父に関しては、妹たちは、

「年齢なりです!ボケてません!病気にするな!」

認知症を完全否定していたが、

例えば入れ歯を外して洗う、

髭を剃る、

お風呂に入る前にトイレに行く、

などの生活の基本動作についての順番も

しなければならないという認識もところどころが抜けてしまっていた。

しかも、身体が不自由なので介助無しにはどこにも行けなかった。

なので、痒いところに手が届かない父の身の回りの介護や補助や気遣いが必要だった。

 

お湯を抜いた湯船の中は明らかに掃除してなかった。

中はざらざらだったし、髪の毛がこびりついていた。

排水溝も髪の毛が残っていた。

ことさらに酷い事に、湯船の上に丸めて立てかけて置いてあったお風呂のフタにう○こがべったりこびりついている日があった。

そのころはよくあったが、父がお風呂でしてしまって慌ててフタをどけたのだろう。

ただ、早奈はいつもさっさと帰りたい一心だった。

急ぐが故に、やることなすこと全てが

「がさつ」だった。

後始末がやりっぱなし、母の口に残り物を無理矢理突っ込む、食べているしりから皿を下げて洗うなど。

 

それを言ったことで、関係がこじれるのが嫌だったから何も言わなかった。

 

母は、いつもお風呂になかなか入らない反面、髪の毛の黒染めとセットはきっちり、

何ヶ月かに一度美容院に行っていた。

だが、コロナ退院してからはずっと、

髪がオンザ眉毛、

横はざんばら髪で、

後ろはガタガタ、

ずさんなヘアスタイルでめちゃくちゃ笑えた。

「どした?その髪?」

あまりにも、酷いので毎回聞くと、

早奈が母の黒髪に染め、文房具用のはさみで母の髪を切ったらしい。

早苗は、とにかく「超」が前につくほど不器用。

字も何書いてるのかわからないくらい汚くて読めなかった。

さらに・・・。

すぐに気がついたのだが、

食卓の椅子に前日切った母の髪の毛がパラパラと散らばっていた。

母は、

「早奈が切ってくれたの、伸びるからいいのよ」

と言っていた。

母も父同様に、物事の前後がわからなくなってきていた。

父と違うのは、身体が自由に動くし、自ら歩ける事と父より多少記憶力があった。

なので、全てにおいて早奈の言いなりになってしまっていた。

 

美容院くらい行かせてあげてほしかった。

両親のお金は全部早奈が持っているのだから。

母はそういった点でお金はあるのに惨めな生活になっていた。

髪の毛を切ることを百歩譲ったとしよう。

せめて、終わったら掃除機をかける。

もしくは、お風呂場か庭に出て切るべきだろう。

 

そもそも、素人が普通のはさみでザクザク切る、しかも下手、絶対にやるべきじゃない。

その指摘は、未だに妹には言っていない。

 

私が社会人になり実家に少しいた頃、妹が高校生、大学生だった頃、毎日のように、父がカンカンになって怒ってたのを思い出した。

夜ふかししてはそのままの服で寝てしまい、お決まりの朝シャン、髪の毛を乾かして洗面所に落ちた髪の毛は掃除しない。

コンタクトを通常使っているお皿に入れて、置きっぱ。

父が流してしまい大騒ぎ!

コンタクトないない事件は、それこそ同じ繰り返しで日常茶飯事に起こっていた。

「だらしない!」

と父から怒られていたのは、いつも早奈だった。

 

ちなみに私は、無神経で雑なO型だが、変なところには細かいタイプだったので、そこのところは神経質なくらいキチンとしていたし、お風呂に入らず寝る、朝風呂、髪の毛を掃除しない、なんてあり得なかった。

 

早奈はグループLINEの中でも、介護の仕組みや用語なども全く理解していなかった。

突然会話に入ってくるとトンチンカンなことが多かった。

そういった専門的な会話になると、グループLINEは私の名奈の会話が多かった。

ちなみに名奈は比較的介護やリハビリに係わる仕事に携わっているため、私より知っていることが多かった。

私は、両親のことがなかったら介護のこと、介護に関する世の中の仕組み、名称など全部知らなかった。

今は便利なので、スマホで知らないことはググれば解説が出てくるし、それでも不明な時は直接病院の先生、看護師さん、ケアマネージャーさんに質問して聞いた。

介護福祉士

訪問介護

訪問看護指示書

介護老人保健施設老健

通所リハビリテーション

介護支援専門員(ケアマネ)

理学療法士(PT)

作業療法士(OT)

言語聴覚士(ST)

福祉用具専門相談員

地域包括支援センター

ケアプラン

要介護認定

主治医意見書

嚥下

疥癬

他にも色々な知らなかった言葉が存在するが、その都度調べて理解していった。

別に知らないことは、恥ずかしいことではない。

恥ずかしいのは知らないのに知ったかぶりしてバレた時、

知らないからといって知らないまま会話に入ってきた時、

だろう。

ところが、早奈は後者だった。

全く介護の用語やしくみを知らないまま会話に口をはさみ、仲間はずれだと勘違いしていた。

読めばわかることを

「私は聞いていない!」

名奈に対して言った言葉やどう読み取っても、個人を指定してなく、提案なのに、文脈を読み取れないから、自分への嫌味だと受け取り、

「いじめ!」

と本当に書いていた。

他の人は、

「え?そこじゃないやろ!?」

とツッコミたくなっただろう。

 

ちなみに私は、知らないときは必ず、

「それってどういう意味ですか?」

とわからないことはどんどん聞いた方が早いと思っていたし、

見解が間違っていたら即、

「ごめんね。間違っていました。」

と謝ることが出来るのが普通だと思っていたが、

早奈はそういったこと、つまり常に目の前の課題に疑問を持ち調べることや、

自分の間違いに気づいた時の軌道修正が出来ない人だった。

 

妹は1つだけ言えるずるいところがあった。

 

自分の領域では絶対にやらない。

実家という特化した場所だけ派手にやる。

例えば自分の自宅や職場、

自分の家族の前では絶対にやらない事を、

実家という親の住む領域であり、

外から見えない場所では、

平気でやる。

大声で叫ぶ、暴言、大騒ぎ、近所迷惑を顧みない。

 

誰からも一切物を言わせず、

何も言い返せない両親を

思い通りに従わせる。 

だから、

思い通りにならないと

実家では、大声で発狂する。

 

その後、早奈の呪いのような恨みの仕打ちが現実となって返ってくる。

実家はまさに早奈(そして名奈)のやりたい放題になっていく。

きっかけはボディソープの水増し。

 

↓ ただボディソープ水増しはやめてください

とグループLINEに書いただけだった。

↓ 早奈は要介護、要支援、デイケア、リハビリなど

仕組みや週に利用できる回数など全く理解していなかった。

口を挟んでは、勘違いだと言うとさらに怒りを露わにした。