毎週毎週、色々なところに両親と一緒に遊びに行った。
Facebookには記録(友達限定)を残している。
金曜日の夜、私の顔を見ると必ず父が嬉しそうに、
「明日はどこに行こうか。高松あたりがいいな。」
とか、父が行きたい場所を言う。
父の行きたい場所はどう考えても日帰りで行けない場所が多かったので、
「お父さん、そこは少し遠いからもう少し近い場所ない?」
と答えて、いつも2人であそこは?ここはどう?と行きたい場所の計画を練っていた。
近場にランチに行くこともあれば、かなり遠出することもあったし、ショッピングセンターにランチしに行くこともあった。
遠出や1泊や2泊する時は、やはり車椅子がどうしても必要だった。
レンタルならいい車椅子が安くで借りられるはずなので頼んでみたが、名奈に即却下された。
おばあちゃんがよく買い物に行く時に持っている手押し車のでかい版みたいなのをレンタルし駐車場に置いてあった。
妹たちは元々父と散歩に行かない。
私は毎回必ず散歩に行く。
その時は必ず父の左側に周り手を繋ぐ。
父は右手に杖を持って歩いていたから。
手押し車だとどんどん前に行ってしまう。
なので、使うことなく駐車場の端に追いやられホコリをかぶっていた。
実際に使えば如何に使いにくいか、長く歩けないかわかると思う。
父の歩くペースと手押し車の進むペースが合わない。結局は横で持ってストップをかけながらゆっくり進むしかなく介護者がまず疲れ、父も長く歩けない。
使い物にならなかった。
遠出する時は歩く距離が長いので、半分歩いたとしても、あと半分は車椅子が必要だった。
娘と相談して、ジモティで新品同様、家の中で数回使っただけという車椅子を自腹で買った。
遠出や泊まりで両親と出かける時には車椅子が活躍した。
父も私たちとペースを合わせて移動でき、歩く時は努力してくれた。
話題は変わるが、旅行やお出かけの楽しみってなんだろう?
色々な季節の風景、景色や構造物を見たり、体験したり、自然に触れたり、楽しみ方は無限にある。
特に女性は買い物が楽しみの一つだと思う。
道の駅やお土産屋さんが軒を連ねている出店が沢山ある城下町などは、目がハートになる。
何を買うわけでもないがあれやこれやと見て回るのも楽しいし、あの人に自分にとお土産を買うのも楽しい。
どこかに出かけるたびに母は、
「名奈ちゃんと早奈ちゃんにお土産を買ってあげるわ。」
と言う。
ところが、母は自分のお金を持っていない。
お金も通帳も全てを早奈に取り上げられてしまっているからだ。
たった1円も貰ってなかった。
酷い事をすると思ったが、特に早奈には何も言わなかった。
私に
「お金を貸してちょうだい」
私の主人に
「金を貸してちょうだい」
と言う。
「後で返すわね。」
と言うが借りた事は悲しいかな忘れてしまう。
覚えていたところで返すお金はない。
妹たちにお土産を渡すと、
「そんなん、いらんわ!」
と迷惑そうな顔して突き返されていた。
ありがとうって母の優しい気持ちをくみとって、受け取るだけでもいいのに、私がお金を出したのが明らかだし気に入らないのだろう。
それでもまた、突き返されたのは忘れ早奈と名奈のお土産を買うと言っていた。
母は、お土産を買うお金さえ持っていなかった。
本来はお金のある家庭なのに、母の惨めな姿がかわいそうで、涙が出そうになる。
ある時、コンビニで休憩をとった。
母が孫3人に、
「何か買ってあげるから好きな物を選びなさい。」
と言っていた。
私が出そうと思っていたら、
母は家にあった小銭の入った貯金箱から小銭を小銭入れに移して持ってきていたのだ。
お札の後ろに貯金箱がある。
孫3人は、ひいおばあちゃんがお金を持っていない事を知っていたので一番安い
「かばやきさん」を一つずつ嬉しそうに持って、
「これが好きやねん!」
とひいばあちゃんに買ってもらい、
「ばあちゃんありがとう!」
と3人揃って感謝の気持ちを伝えていた。
その財布の中にさえ、
「お母さんのお金を盗るな!」
と書かれたメモが入っていた。
「かばやきさん」の値段は1つ15円。
だいぶ経ってからの話しだが、母の小銭入れに五千円札が入っていた。
早奈ちゃんからもらったと嬉しそうに見せてくれた。
母はそのお金を大事そうに出したり入れたりしていた。
もしもお出かけした時に母がそれを使ったら、それこそ私が盗んだと大騒ぎになるので、実際には使えないお札だった。
何度かトイレやお店にカバンを置き忘れてしまい、前の休憩場所へ急いで戻るという事件も発生していた。
孫が、トイレに入る前かばんを手に持っていたと覚えてくれていたので前のサービスエリアに戻ると、無事トイレの内側にかかっていた。
そんなこともあり、
「出かける時は手ぶらでいいよ」
が原則になった。