人として大切なこととは?

子、孫、そして次の世代に伝えておきたい忘れてはいけない記録

第8話 噴水事件

ここで、数ある「早奈の性格を色濃く表す事件」の1つを忘れることなく記しておきたい。

大阪ガス事件から遡ることさらに3ヶ月くらい前の出来事である。

私もその頃は、実家の父から呼び出しがない限り、そう頻繁に実家に顔を出していなかった。

なので、弟と名奈、そして母から聞いた話が大半だがまとめてみる。

まずは母の性格を述べておくと、

昔から天然(ボケ)なところがあり、京都の人なのでプライドだけは高い。
しかもよくある事に勘違いを如何にも本当の事の様に言う。
勘違いを

「こうだったかな?うろ覚えだけど」

と遠慮し持って言う訳でなく、悪びれることなく

「こうだった!」

と平気で断言する。(本人がそう思っているので、悪気はない。)

ただ人の悪口は絶対に言わない、人と話すのが大好きで、外人、子ども、がいると自分から親しげに話しかける。

結婚当初から、ダスキン、ゴルフ場の受付、ゴルフウエア店、食材工場など、父の「103万円の壁」の範囲内でパートをしていた。

仕事を辞めてからはずっとシルバーアドバイザーとして、学校や幼稚園、保育園、学童などで子ども達に昔の手作りおもちゃなどを一緒に作って教えてあげたり、老人ホームをまわったりするボランティア活動をコロナ禍になる直前までしていた。

ある日、実家の庭の階段あたりから、水が大量に噴き出してきた。
噴水事件の勃発である。

その時母が、最近、新築に建て替えて建て売りしていたお隣の家は、建て替えをする前に先住者の家は庭に「池があった」と言い出した。

今さらどうだったのかは不明なのだが、

「絶対に池があった!」

と今でも言っている。しかも、池だったと言ったのは母一人で、父も私も兄弟も見た事はない。

実は、母の言う事は話半分であり確実ではない。

しかも、実家の庭の階段あたりから水が噴き出したのと隣に池があったことの因果関係は、不明である。


もしも母の言うとおり、池があったとしてもうちの実家の庭から突然吹き出した噴水の原因とは限らない。

早奈とその旦那さんが、何度か実家に来て、調査を始めた。
台所から、洗濯機から、お風呂から、トイレから、色々な排水が出るところからバケツで水を流して水が溢れ出るか見たが、特に溢れることはなかった。

ならば、やはり隣の池が怪しい。

新築を施工した際に、施工方法があまりにもずさんで、池をきちんと埋め立てずに家を建てたせいで、

「隣人の家から出た水が実家に溢れ出ている説」

が浮上した。

もしも、その話題に私が入っていたなら、隣の家に行く事に関して断じてSTOP!をかけただろう。

前、住んでいた人(前住人のご夫婦は亡くなっている)の息子さんと連絡をとり池があったか確かめるなり、隣の施工業者に聞くなり、先に実家の庭の水路を徹底的に調べるなり「絶対と言える証拠」がない限り、お隣には行かない。行くなら、STOP!をかけるだろう。

まずまずが。

母の性格を知ってるなら、

「隣に池があった」

発言をはなっから全く信用しないだろう。

母は、でまかせや勘違いを本当のことように言うことが極端に多いからだ。

面白いことに、これを問い詰めると話の論点をうまいことすり替えてくる。

例えば、

「最初に誰々さんから聞いた話だと言ったでしょ?」

「最初から早奈ちゃんにはそうかな?と言っただけだけど。」

「お隣とは仲が良かったからお隣の人が言っていたはず。」

のように話が二転三転する。

途中で潔く、

「勘違いでした。ごめんなさい。」

とは口が裂けても言わない。

例えば、私は読書が大好きである。特に感動した作品は、期間を空けてじっくり時間をかけて2度読む事もある。私が感動した本のあらすじをどうせ母は読まないので、感動部分も細かくネタバレありきで話してあげることがある。
すると、次回会った時や翌日などに、私の娘や妹に自分は読んでもいない本の話を如何にも自分が読んだかのように、

「この本は凄く感動するわよ。読んでみたら?こういった部分があってね。」

と詳しく私が話した通りにあらすじを話しているので、笑ってしまうことがよくある。

要は話半分、自分が如何にも読んだことのようにすり替えてしまうのだ。

本人は自慢げに話をするが、全く悪気はない。

ところが、早奈は母の

「隣が池だった」

を100%信用してしまった。母の本当の性格をよくわかっていたならありえない展開だと思う。

カーッと頭に血が上ってしまい、標的が出来た!ここぞ!とばかりに、自分の旦那まで引き連れて、隣の家に怒鳴り込みに行ったらしい。

私が思うに、そういう状態なった早奈は、全く違う理由である日頃の鬱憤をそこに持ってきているのでは?と感じざるを得ないほど相手に攻撃することが多い。

隣の家はちょうど旦那さんが不在で、奥さんは妊婦さんだった。
心理的にも不安定な時期の奥さんに、

「お宅が隣のうちの家に水が噴き出した原因だ!」

とかなりひつこく迫ったらしい。

隣の家は、言われてすぐ施工業者に相談し地面を全部掘り起こす大工事をした。
何日かかけて工事し水路等がないか調べたが何ひとつ原因はなかった。

実家は実家で、家を施工したハウスメーカーに調査依頼。
(隣に怒鳴り込みに行く前に調査すべきだった)
すると、排水ますのあたりで、ゴミが溜まっていた。実家が新築施工してから35年間一度も掃除していない管がゴミでいっぱいになり、そこから一定の水が溜まると水が逆流して溢れ出て来ていたということだった。

(アホか。)

結末を聞いてホトホト呆れた。

実は、ここで話は終わらない。

隣の背の高くて体格のいい旦那さんが、なんと実家に反撃に来たのだ。

奥さんが妊婦だったのに執拗に責められて恐がっていたこと、そもそもが池はなかったこと、工事をしても水路なんて全くなかったこと、きちんと調べずに濡れ衣を着せられたことなど複数の要因でかなり怒っていた。

「ピンポーン!」

と、隣の旦那さんが実家に来たときに、

「言い掛かりをつけてきた女性と話がしたい!」
と言ってきたらしい。

たまたま早奈は実家にいたのだが、

 

その時の早奈の行動が呆れたものだった。

「ちょっと私は、実家にいないことにしといて!」

と言い、勢いよく2階に駆け上がり、コソコソと机の下に隠れていたそうだ。

もしも、自分が間違った行動をしたのなら、過ちは過ちとしてきちんと大人の対応で、深く相手に謝罪すべきだと思う。

逆にもしも、私が間違って隣の家のせいで水が噴き出したと問い合わせてしまったのなら、うちが間違えていました。すみませんでした。と何があっても間違いは間違いとして、たとえもの凄く怒鳴られたのしても、深く謝罪しただろう。

まずまず、私が対応していたらそんな事態にならなかったと確信できる。

言い方も決めつけた言い方で酷かったようだ。

「もしかしたら、お宅が前、池だった?のが原因って事も考えられるという案が出たのですが、池だったのかがそもそも怪しいです。母の言ってることが全く確信ないので。うちの庭をもう一度調査して結果報告します。まずはご報告のみ。」

くらいの言い方で良かっただろう。

でも、常に攻撃的で何か1つでも相手に弱みがあれば、頭に血がのぼり、同じ攻撃言葉で繰り返し怒鳴り散らす性格は変わらない。

 

排水ますは定期的に掃除が必要だった。

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