人として大切なこととは?

子、孫、そして次の世代に伝えておきたい忘れてはいけない記録

第29話 いじめられ体質

つい先日、私は誕生日を迎えた。

来年早々には、還暦を迎える。

全くもって自覚がないが。

昔の人ならとっくに死んでいたかもしれない。

それくらい生きたらおめでたいという年齢なのだろう。

もう死んでもおかしくない年なのだろう。

 

私は丁度高校2年生に進級してまもなく1人だった。

家でも、学校でも、本当に1人だった。

 

高校進学からおばあちゃんちから学校に通っていた。

家では、反抗期真っ只中で気持ちの持って行く場がなく、

「取扱注意」だから家から出された。

元々はおとなしい性格だと思う。

実際に小、中、高、大学の時も外ではわりとおとなしかった。

おばあちゃんちでは、小さい頃から同居していた訳でもなく、

明日のお天気

本日のニュース

くらいしか共通の話題がなかった。

2階に自分の部屋をもらい、朝ごはん、晩ごはん、衣食住の心配はなかった。

 

学校で1人になったきっかけは単純な事だった。

2年で仲良くなったグループがあった。

そのグループで最初からよく先生にイタズラしていた。

教壇の縁にチョークを塗る。

先生が教壇にもたれるとお腹の部分にチョークがつく。

ドアを開けると上から黒板消しが落ちてくる。

それを見て面白がって笑う。

体操の授業後は教室に鍵をかける。

男性教師が教室に入れないようにする。

授業が始まって入ろうとすると

「エッチー!」

と叫ぶ。

だんだんとイタズラの度合いが酷くなってきた。

公立高校なら学級崩壊なのかもしれないが、

私立女子校なのでほどほどだった。

他の生徒は何も言わなかった。

学校ではどこかのグループに所属していなければ、

学校生活が成り立たない。

だが、入ったグループが完全に間違いだった。

私は元々大人しい系のグループの人種だから。

 

イタズラも授業妨害も最初から嫌だったし、

それの何が楽しいのかわからなかった。

つい、グループリーダーの子に

 

「こんなしょーもないイタズラはもうやめよ。」

 

と言ってしまった。

その瞬間から先生へのイタズラはやんだが、

イジメの対象が私に向いてきた。

 

リーダーが白い目でにらみつけてくる。

グループ全員で圧をかけて無視する。

クラス全体の生徒も同じく見て見ぬ振り。

 

味方すれば、その対象が自分に向くから。

賢い人は相手にしない。

 

物を隠される。

机と椅子を教室の外に出される。

嫌味を言われたり嫌がらせは日常茶飯事。

お昼は教室以外の場所でパンを食べた。

朝はいつもパンだったが、

昼も買ってきたパンだった。

ま、パンが好きだから全然問題なしだった。

 

親に言えるわけもなく、

しかも親と住んでいなかった。

しかし2年生一学期の成績がガタ落ちし、

どこから漏れたのか先生がなんとなく勘づいて、

個人懇談で親に言った。

当然、相手の親にも言ったのだろう。

 

「親にチクった」

とさらにやり方が酷くなった。

駅の階段から突き落とされそうになったことがある。

ま、その時怪我したり、死んだりしたらそれこそ大騒ぎだっただろう。

何もなかった。

 

親がそのことを私に聞いてきたのは、

3年生に進級してからだった。

「もう解決した!遅いわ!」

と、ツッコミは入れなかったが。

 

毎日、1人。

悲観的ではなかったし、

実は性に合うのか気が楽だった。

けっこう呑気だった。

ケセラセラ的な考えだった。

 

「相手は馬鹿集団だから」

相手をいつも馬鹿にしていた。

3年になったらクラスが変わるだろう。

「期間限定で我慢すればこの状況から抜け出せる。」

と思っていた。

 

授業中は先生の話しを聞くのが楽しかったし、

休み時間や昼休みは速攻図書室に逃げた。

おかげさまで沢山の本に出会えた。

 

放課後は、クラブ活動に友達もいたので問題なかった。

高校の頃はギターに夢中だった。

さだまさし、アリス、イルカ、TULIP、かぐや姫などをカバーし、コードを覚え、弾き語りで放課後は毎日フォークソング倶楽部で歌っていた。

特にさだまさしの曲は完コピし、アルペジオは得意中の得意だった。

そういう意味では全く1人という訳ではなかった。

 

「いじめられ体質」

それはあると思う。

なんとなくだがそういった人には、

そういった空気感がある。

 

行動がトロい

立場が弱い

性格もなんとなく弱い

相手が自分より強い

言われても言い返せない

 

私は明らかに

「いじめられ体質」だと思う。

 

ちなみに、私の孫である双子の女の子も同じ顔はしていても違いがある。

Rちゃんは負けず嫌い、几帳面、神経質、はっきり物を言う、努力家。

Yちゃんはおっとり、しゃべるのが下手、時々?何が言いたいのか不明、不思議ちゃん、すぐ泣く。

どちらが「いじめられ体質」なのかは明らかである。

 

しかし、私自身は「いじめ体質」ではないと思う。

ただ、それは微妙なところで「相手がどう思うか」にもよる。

私が「あ」と言っただけで、

早奈からは常に

「いじめ!」

と返答が返ってきたので。

 

大人になってからの話。

私が正論だと思う意見を言う。

あなたの意見、行動は普通じゃないよ。

理不尽すぎるやろ!?

という部分を「見える化」し、全員にわかるように証明すると、

早奈は必ず、

グループLINE内で、

「いじめ」

「いじめはやめて!昔と一緒!」

と言ってきた。

 

果たしてそれはいじめに当たるのか?

じゃ、年上の私は意見を言ってはいけないのか?

いつも疑問だった。

 

↓ 弟も私と同じく早奈については「口が災いする」と書いている。