人として大切なこととは?

子、孫、そして次の世代に伝えておきたい忘れてはいけない記録

第43話 警察沙汰の戦友事件

金曜日の夜から土日は私が担当の日。

何故か急に名奈から土曜日リハビリ後に帰るようにと指示が出た。

理由は久しぶりに弟が実家に来るからだった。

弟が戻るのは土日なので帰って来た時にはいつも両親と私と弟でおしゃべりしながら食事をしていた。

夕食も準備出来ていたし、何故「帰れ」指示なのかさっぱり分からなかった。

その日お昼間は両親と一緒に車に乗って遠出でお出かけしていた。

母がせっかく夕食の用意もあるし、一緒に食べようと誘ってくれた。

父も母も出かけていたのでお腹がすいてるのになかなか来ず、息子の帰りを楽しみに待っていた。

やっと夜8時ごろ突然、早奈夫婦、名奈夫婦、そして弟が焼肉の用意や大量のビールなど沢山食材を両手にかかえて、ガヤガヤと賑やかに実家に入ってきた。

第一声は、

「お姉ちゃんは帰ってもらえるかな?」

だった。

全員がいないはずの私がいるので怪訝そうな目つきで見てきた。

名奈は明らかに、「帰れと言ったのにまだいる!」の目だった。

チラッと見えた早奈の顔は、勝ち誇ったように嬉しそうな顔で人の影に隠れてニヤニヤと薄笑いを浮かべていた。

即、状況が理解出来たので、食卓にあった晩ごはんを冷蔵庫にしまって嫌な気分で帰った。

 

翌日は私が担当。

行かないとまた責められる。

仕方なく朝からまた実家に戻ることにした。

名奈たちが朝いて攻撃されるのではないかと思いヒヤヒヤしたが弟と両親しか実家にはいなかった。

娘に詳しく昨夜の事情を話していたので、娘が心配して、何かあればすぐ逃げておいで、すぐ電話してと言ってくれた。

結局、その後すぐ娘は実家に来てくれた。

娘は怒っていたんだと思う。

ドアをなかなか開けてくれない事で私の身を案じてドアをドンドンとたたいた。

弟は、その行為に腹を立ててものすごい勢いで怒鳴り出した。

鈍感な私はそのドナリ声で私を「財産狙い犯」だと確信していると気づいた。

 

弟は前日に飲んだお酒が抜けていなかった。

いつもの事だが、お酒のにおいがプンプンしていた。

言葉のところどころ呂律が回っていなかった。

 

さらに私が会話を録音していることに気づいて逆上した。

自分の身を守るためもあったが、ドナリチラシ方がハンパないので、後でこれ聞いてみたら?と言うつもりで、会話を録音するようにしてした。

 

弟は、「助っ人名奈」電話で呼んだ。

弟は、ビビリなので1人では何も出来ない。

名奈の後ろに隠れることで、強くなれるのだ。

実家の近くに住んでいる名奈は瞬間移動したのか?

と思うほど一瞬で飛んできた。

 

そこからは、名奈と弟のドナリチラシの嵐だった。

常に冷静に言葉を選んで適格に敬語で話す娘。

裏腹に、名奈が大きな声でセンユウ!とドナリチラシた。

私はもはや全く口を挟むような余地は全くなかった。

 

娘に向かって、

「あなた!センユウよ!センユウ!帰って!帰ってって言ってるのに帰らないのはセンユウなの!だから!」

センユウ!センユウ!だから帰れ!」

と、娘にセンユウという言葉を何十回も叫んだ。

噴水事件で恨みを持っていたお隣さんが警察を呼んだ。

お隣の庭のすぐ横の部屋で、名奈と弟が怒鳴っていたので恐らく間違いはない。

 

名奈は異常に興奮し、

肩を上下に動かして、何度も息を切らしながら叫んだ。

言葉の合間にハッ!ヒッ!ハッ!ッヒ!エッ!オッ!

とかハァハァ変な息をもらしていた。

 

名奈が何度も繰り返す、センユウ!

センユウが私の頭の中でリフレインしていた。

なんだろう?このセンユウって?

どういう字だろうか?

戦友?じゃない。

しかし、あの息の切らしようはなんだろうか?

と呑気に色々と思いを巡らせていた。

 

だいたいが、早奈よりも名奈の方がドナリチラシに関しては数段レベルが上だった。

早奈は意味も内容もない言葉のドナリチラシだったが、

名奈はさらにグレードアップし言葉数も内容も色々なバージョンがあった。

 

警察が来たのに怒りが収まらないのか、名奈がドナリチラすので警察官が更に応援を呼んでどんどん警察官が増えてきた。

 

私と娘、弟と名奈グループに離され事情聴取を受けた。

名奈は怒りが収まらないのか、警察官にもこの人センユウ!なんです。

この女が帰らなくてセンユウ!とひつこく叫んでいた。

弟が酒臭かったせいで、両親が殴られたり危害を加えられてないか調べていた。

 

私と娘と警察官グループ3人、同時に目を合わせて首をかしげた。

警察官「あの~センユウってなんですか?」

私「ん~なんなんでしょうか?戦争の友達と書いて戦友じゃないし、占領かな?

あ、もしかして、不法侵入の間違いかな。」

警察官「意味わかりませんね。もしかして妹さんは、何か精神的な病気をお持ちなんですか?」

私「いや、ないと思いますよ。・・・にしても・・・。」

とそこから話しがそれて世間話になった。

警察官「とにかく2人には近寄らない方がいい。今日のところはこの場から離れて自宅に帰って下さい。お気を付けて。」

と言われて自宅に戻った。

 

帰宅してスマホセンユウを調べてみた。

宅建用語で「占有」という言葉のことだとわかった。

 

娘が、おばあちゃんちに行った。

祖父、祖母に言われた訳ではない。

叔母が突然来て、帰れと言っても帰らないから

「占有!」

って言葉の使い方は合っているのだろうか?

どこかで知った新しい言葉を使ってはみたけど、聞いてる皆さん意味不明感がハンパない。

名奈はそういうところがあり、日常使わないような言葉を私は知ってる感を出して、

多用するが、そのたびに何だ?となる私はiphoneでググっていた。

 

警察沙汰の午後、実家にまた戻る気にはならなかった。

実は弟はサッサと帰ってしまったらしい。

母から16時ごろに電話があった。

「今からお母さんとお父さんは寝るからもう、今日は来なくていいよ。

ご飯も食べたよ。」

と言われた。

 

後日、名奈から日曜日の昼ご飯と晩ご飯を用意していなかった!と攻撃の材料にされた。

 グループランキング参加中・・・もしよければポチっとお願いします。